Frei aber einsam

何を調べたついでだったか忘れてしまったけれど、Wikipediaで何かを読んだついでにそのままいろいろな項目を読み進めていって、出会った記事(?)にあった言葉。

F.A.E.ソナタ(Sonate F.A.E. [Frei aber einsam])は、1853年にドイツの作曲家であるロベルト・シューマンが友人アルベルト・ディートリヒとヨハネス・ブラームスとともに作曲したヴァイオリンソナタ。
3人の共通の友人であるヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムに献呈された。1935年出版。
曲名のF.A.E.とはヨアヒムのモットーである「自由だが孤独に」(Frei aber einsam)の頭文字をとったものである。
ドイツ音名のF・A・Eはそれぞれイタリア音名のファ・ラ・ミに対応し、この音列が曲の重要なモチーフとなっている。
このような手法をシューマンは好んでいたらしく、『アベッグ変奏曲』(A-B-E-G-G)やピアノ協奏曲(C-H-A-A ⇒ Chiara = Clara)などで用いている。
ちなみにブラームスは、ヨアヒムのモットーに対応する「自由だが楽しく」(Frei aber froh)をモットーとしており、この略に対応するF-As-Fの音列を交響曲第3番で用いている。
(後略・下線筆者)

https://ja.wikipedia.org/wiki/F.A.E.%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF

わたしはドイツ語はさっぱり分からないけれど、「自由だが孤独に」という言葉、そして頭文字を音列に読み替えてモチーフとするという方法に興味を持った。
知ったのはもう数ヶ月前で、それからずっと、鍵盤に向かうたびにファラミを試してみるのだけれど、実はすでに(この言葉と手法を知る前に)ファラミという音列をわたしは “afterglow” のモチーフとして使っているので、どうしてもそこで使ったフレーズから離れられなくて、ため息をついて他のことをする日々が続いていた。

何かを作るときは毎回ひとつは新しいこと、これまでしたことのないことをするのを自分に課していて、今回はローパスフィルターの自己発振から音を取り出すことと、すごく面白いはずなのに楽しめていない 2 つのモジュールたちと真剣に向き合ってみることをテーマにしてみた。
もうひとつ、これも絶対面白いはずの MIDI コントローラも楽しめていなかったので、どこかで使ってやろうと引っ張り出して、いつでも CV/Gate を出力できるように待機させていた(結果として、ファラミのアルペジオをわたしの代わりに一時間以上弾き続けてくれた)。

かれらを使って、できあがったわけだけれど。
フィルターはかわいらしい音をたくさん聴かせてくれて、2 つのモジュールも以前より少し打ち解けてくれて、MIDI コントローラは「お前は鍵盤を使うと面白くないものしか作れない気がするぞ」などと恐ろしいことをわたしに囁いてきて……まあ、つまりは、この子たちとはそれなりに仲良くなれたわけだけれど。

できあがった音が、決して嫌いではないんだけど、作って数日経った今、なにかしっくりこない。

しっくり来ないので、SoundCloud の曲名にいいわけめいたカッコ書きを付け加えてみたりして。
知り合いにそんなことをぼやぼやとぼやいたら、こんな返事が返ってきた。

「その時その時の産直(あなたの感性とかマインドという土壌から産出したもの)を聞かせる調理スタイルですよってのどうだろう」

そう。そうなのだ。
Miss Canine Hoe は「音の実験」を展開しているのだと、このサイトに書いたのはわたしだ。
「おいしいかどうかわかんないけど、こんなのできたから食べてみて」という、絶対に商売にしてはいけない実験室のような場所なのだ。

だからこれでいいのだ、とはさすがに言えないけれど。
でも、あのときの自分が一度「うん」と言ったものだから、置いておくことにする。

そのうちどこかで、この時にできた音を再利用するだろうなという気は、ずっとしている。
そういう気持ちになるのって今回が初めてだから、これもまた新たな収穫なのかも知れない。

というわけで、新作 “Frei aber einsam” です。

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