Turn Your Scars into Stars

It destroys everything slowly.

4 月のフォルダに入っていたので、4 月か 5 月に作ったんだと思う。
もっと前にモジュラーシンセサイザーたちと遊んでいたときにできた音を保存してあって、とりあえず Ableton Live にそれを放り込んでみて……それがどうしてこうなったのか、全く覚えてない。
Meld や Wavetable で MIDI ノートを鳴らしてるし、ドラムサンプルを散りばめたりもしてるんだけど、なんでこんなことを思いついたんだろうかと、いくら考えても思い出せないから、それについて書くのは諦めることにする。

できてすぐに Elly に聴いてもらって、とても気に入ってもらえてうれしかったのは覚えてる。
仕事にちょっと大きめの変化があって、そっちに気持ちとか時間とかいろいろ持って行かれて放置する形になってたけど、ときどき思い出しては Elly にタイトルを相談したりジャケットデザインを相談したりして、Elly が出してくれたアイディアがとてもよかったので、どちらもそのまま使った。

「時薬」って言葉がある。
あると思ってたから、大辞林でちゃんと調べようとしたら、載ってない。新明解国語辞典にも載ってない。
もしかしたらそんな言葉はないのかしらと思って、Google で検索してみたらいくつも出てきたんだけど、辞書には載らないような言葉なのかしら。

Elly がつけてくれたタイトルは、もちろん「時薬」を意味するものではないのだけれど、傷が自分にとって愛おしいもの、愛おしくなかったとしても客体として見つめうるものに変わるのには、たいていの場合には、どうしたって相当の時間が経つ必要があるわけで。
傷を自分の中で客体化できないまま、いわば「生」のままで表に出して、赤の他人に見せてしまうのはとても恥ずかしいこと、もっと有り体に言ってしまえば、すごく気持ち悪いことだと常々感じているので、「星」という言葉が喚起する、昇華みたいなイメージもあって、Elly のつけてくれたタイトルはとても気に入っている。

時間ということで言えば、時間を大切にせねばならぬ、みたいな説教臭い箴言がもてはやされる中で、わたしはだいたいそのどれも嫌いなんだけど、ひとつだけ好きな言葉がある。

Imitate time; it destroys everything slowly; it undermines, it wears away, it detaches, it does not wrench.

Joseph Joubert

時間の「振る舞い」をこんな風に解釈して言語化した人をわたしは寡聞にして知らないし、しかもそれを「真似よ」とわたしたちに短剣のごとく突きつけてくることに、畏怖の念すら抱く。
客体化した傷も、ひょっとしたらこんな風に、ゆっくりと壊され、じわじわと浸食され、根こそぎ引き剥がされた残滓なのかもしれない。
処世(処世術ではなくて)とはこういうものなのではないかと、ときどき考える。

その一方で、この人はこんなかわいい言葉も遺していて、どんな人だったんだろうなあと思いを馳せるのがちょっと楽しかったりする。

Music has seven letters, writing has twenty-six notes.

Joseph Joubert

これを作ったあとにコンピレーションアルバムに参加するための作品をいくつか作っていたので。
それらはいずれ表に出てくると思うので、その時にはまたこちらでも紹介しようかなと思ってます。

というわけで、ぜんぜん関係ないことしか書けてないけど、久しぶり?の新作 “Turn Your Scars into Stars” です。

♪よかったらシェアしてください♪
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次