穏やかな、ゆったりとした時間をもらった。
思えば去年の 11 月頃くらい、「憑き物が落ちた」とか言っていた直後からまた音が作れなくなっていて。
作れないどころか、聴くのも無理な日が続いていて。
別にいままでもそういう時期がなかったわけではないから、そんなものだろうと思っていたのだけれど。
今思えば、明らかに「病んで」いた。特に今年に入ってから。
たぶん昨年の……冬になったくらいからずっとそうだったんだと思うけど、日常のいろんなことが澱のように心の中に積み重なって淀んで、あまりきれいじゃない色に、気がつけば心が染まっていた。
そんな自分に自分で気づくことは、少なくともわたしにはなかなかいつも難しくて、今回は Elly がわたしの心の叫びを受け止めてくれて、通院と休養を勧めてくれた。
通院は先月からスタート。
お薬に慣れるまでは多少しんどいけど、これまでも経験していることだし、Elly もいてくれるので、不安はない。
どこに行っても仮面を外すことのできない自分に、呆れはするけれど。
休養と言っても今の仕事を長々と休むわけにはさすがにいかない。でも、うまく調整すればそれなりに休めるのも確かなので、適当な理由もつけて、シフトに穴を開けた。
家で寝倒すのもいいかなあ、くらいに思っていたけれど、ちょっと前に Elly がホテルの部屋で素敵な一人の時間を過ごしたことを聞いていて、それがうらやましかったからなのか、ホテルに缶詰になって音作りをする夢を見たりしたのよね、なんて Elly に話したら、家からさほど遠くないホテルを、休みに合わせて予約してくれた。
そして当日。
予定していた時刻の路線バスがなくなっているというトラブルはあったけれど、無事にホテルに到着。
想像していたよりずっと広いお部屋で、バスタブもあるし、デスクも広い。
さっそく MacBook やノートや手帳をデスクに広げたのがアイキャッチの写真。
最近のテレビは HDMI 入力があるからデュアルディスプレイにして、Ableton Live を立ち上げておいて。
ネットやら何やらはMacBook の画面で。
一人でご飯を食べに行ったり、スーパーで買い物したり、部屋で本を読んだり、デスクでノートにアイディアメモを転記しながらふくらませたり、温泉の素を入れたバスタブに iPhone で Youtube を聞きながら浸かったり、眠たくなったらベッドに転がってちょっと眠ったり。
その全てが穏やかで、時間がゆっくりと流れていた。
ほとんど毎日わたしを困らせる頭痛も出なかったし。すごくすごく、穏やかな、平和な時間。
いつもいつも最高のプレゼントをありがとう、Elly。
Ableton Live も立ち上がっているから、ちょっと触ってみようというくらいの軽い気持ちで、以前に拾ったサンプルの音を聴いたり、中身を忘れてしまったプラグインを立ち上げてみたり。
ここに来る前に Elly とは、「自分が『いま聴きたい』と思う音が作れたらいいかなあとは思ってるんだ」なんて話はしていたけれど、できなくてもいいやと思っていた。
でも、サンプルを次から次へと聴いているうちに、この音は好き、と思うのがいくつか出てきて、それをセッションビューに並べていじっていたら、自分が聴いていたいと思える音ができた。それも一日?半日?で二つも。
そのうちの一つは完成まで行ってみようと思ったので、Studio One を立ち上げて。
オートメーションを書いたり、ゲインやパンをいじったりして 2mix にしてから Elly に聴いてもらって、一緒にタイトルを考えて。
結局、作り途中のアルバムに入れようということになった。一歩前進。
もう一つできた音と 11 月に作りかけていた(のを今回発見した)音も、完成させて日の目を見せてあげたいと思ってる。
どちらも今のわたしが聴きたい音だし、大切な音だから。
ホテルじゃないと音が作れない身体になったら困るけれど。
でも、あの穏やかな時間は、クセになりそう。いいのかな。いいんだよね、きっと。