読書と映画鑑賞。
ほんとに今さらなんだけど、ジョージ・オーウェルにはまり始めていて。
なんとなく小説が読みたくなって、本を詰め込んである部屋（図書室と呼んでる）に入っていって、そう言えば読んでなかったような気がすると思って、目についた高橋和久訳『一九八四年［新訳版］』（2009・早川書房）を手に取って読み始めた。
読み終えてすぐ Amazon で英語版のペーパーバックを購入して、原文と比較してびっくりしたりガッカリしたり、さらにはElly の力も借りて、山形浩生訳『一九八四』（2024・星海社）とも読み比べてまたびっくりしたりガッカリしたり、本作についても言及している開高健のエッセイなどが読めて一粒で三度くらいおいしい開高健訳『動物農場』（2013・筑摩書房）を読んで頭をかきむしったり、川端康雄『オーウェル『一九八四年』——ディストピアを生き抜くために』（2022・慶應義塾大学出版会）を読んでウンウン唸ったりしている。
オーウェルのエッセイ（「象を撃つ」とか）にも手を伸ばしてみたいけれど、絶版が多くて困る。
もっともっと注目されて然るべき作家だと思うんだけどなあ。
FREEDOM IS SLAVERY
IGNORANCE IS STRENGTH.
2 回映画化されていることもわかり、どちらも DVD は借りたけど、何となくまだ観る気になれない。
というのも、この本がわたしに、胸ぐらをつかんで殴りかかってくるような勢いで音を喚起してくるから。
映画を観てしまうと、喚起されたものがそのイメージや音で上書きされてしまうのが怖くて、音と映像を、少なくとも音だけでも作り終わってから観ようと思っている。
他の本も何冊も手をつけているので、読みかけの本がそこかしこに散らばっていて、昨日はこれを読んだから今日はこれを読んで……あれ？この言葉って一昨日読んだあの本の記述と関連してるんじゃないかしら……などとあっちこっちを引っ掻き回す、ある意味とても幸せな日々。
本を読んでないときは、映画を観てる。いや、もちろん仕事もしてるけれども。
アメリカ映画だけじゃなくて、イギリスとかフランスとかイタリアとかスペインとかポーランドとかアルゼンチンとかインドネシアとか韓国とかの映画に最近は手を広げている。
それぞれの国語の響きとか、国情とか、風景とか、サウンドトラックとか、人生や物語の捉え方とか、とても興味深いし、発見も感動も多い。
本当はさっさとライブに向けた音と映像の制作に励まなければならないところなんだけれど。
回り道ばかりしていて焦る気持ちもあるけれど、音や映像として何かを制作する前には、自分の内側にいろんなものをため込んでいくことがどうしても必要で、それを火にかけて太い木の棒でグチャグチャに混ぜてるうちにブクブクふくらんできて、釜からあふれ出したものがアウトプットになる、みたいな感覚がある。
あくまでわたしの場合は、だけど。他の人がどうなのかは知らない。
今はまだ少しずつ吹きこぼれているあたりなので、書き散らかしたメモがそこら中に、読みかけの本と一緒に散らばっている。
わたしにとって、内側にため込まれるべき「いろんなもの」とは言葉であり、音であり、物語であり、人の顔や声であり、道端に落ちているゴミであり、垣根や壁の際に生い茂ったり枯れたりしている草花であり、水の感触であり……面白いもので、匂いや味の感覚とか、匂いや味が想起する記憶とか、そういったものにわたしは非常に鈍感。
最近、ジュリア・キャメロン『新版 いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。』（2022・サンマーク出版）のワークを少しずつ進めているのだけれど、匂いと味に関する記憶を問われると、いつも途方に暮れる。
いい匂いとか臭いとか、おいしいとかまずいとか、わたしにだってそれくらいの感覚はあるのだけれど、視覚や聴覚、触覚に比べて、嗅覚と味覚は弱いというか、どうでもいいというか、好悪の判断対象ではないと思っているのかもしれない。
やっぱり、ちょっと焦るなあ。そろそろ吹きこぼれをかき集め始めようかしら。
そんな、このごろ。
寒い日々が続きますので、皆様どうぞご自愛専一に。よいお年をお迎えください。
※投稿内画像とアイキャッチは Wikipedia より拝借しています：
By Frederic Guimont ; Original uploader was ChemicalBit at it.wikipedia – 1984comic.com (former Art Libre licence stated here) ; Transferred from it.wikipedia, FAL, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10786938
