スタジオでセッション #1

楽しかった! また絶対やりたい!

勤労感謝の日に、「妖怪ノイズ」ばねとりこさんと念願のスタジオセッションをしてきた。
ご飯でも食べながら事前のすり合わせを、という名目で痛飲したのは先月だったかな。
さんざん悩んで決めたセットアップをSynthrotek のモジュラーシンセサイザーケース(初めてのお出かけ!)に詰め込んで、前日にその存在を思い出して棚の奥から引っ張り出した Zoom R16 も抱えて、あえて MacBook は持たずに行って来た。

MacBook を持たなかったのは、荷物が重くなりすぎるからというのもあるけれど、Ableton Live のオーディオエフェクトについつい頼ってしまう自分が容易に想像できたから。
どうせなら、自分が出したい音をモジュールたちだけで出せるかどうか挑戦する機会にしようと思った。
そう考えたらセットアップもスッと決まっていったような気がする。

紹介されたスタジオは、前に使ったスタジオよりも距離は遠いけど、電車の乗り換えや歩く距離を考えると、こっちの方が楽。喫煙所もあるし。
ただ、家に近い方のスタジオは店長さんが最高なので、今後どっちを使うかは悩ましいところだなあ。
ちなみに、ここ

誰かと一緒に演奏するというのは生まれて初めての体験だったし、しかもその相手が、わたしが勝手に大先輩と仰いでいるばねとりこさんだし、うまくできなかったらどうしようとか、不安だらけだったんだけど。
ばねとりこさんのやわらかいお人柄と、スマートフォンから流してくれた BGM のおかげで、和やかに落ち着いて準備して、始めることができた。
R16 の電源が入らなかったり(電池の蓋を外して付け直したら入った……なぜだ。家でもう一度試しても同じ。そのたびに日付と時計がリセットされるし。ボタン電池でも入れるところがあるのかしら。調べなくちゃ)、Doepfer A-124 から音が出なかったり(電源つなぎ忘れたのかなあ……明日チェックしてみないと。大好きなモジュールだから、もしも壊れてたら困るなあ)、R16 から音出してみたらものすごい音量で思わず爆笑したりと、焦る場面もいつも通りなポンコツぶりだったけど。

始める前にパッチングまでしたところ。A-124 から音が出なくて焦るのはこのあと。
やっていく中でどんどんアイディアが出てきて、最終形はもっとモジャモジャ。

先日のすり合わせで、ばねとりこさんの音をわたしがモジュラーシンセサイザーたちと一緒に加工するという方針で決めていたので、入力はばねとりこさんの出す音だけ。
ばねとりこさんがササッと作る(すごいの、ほんとにササッと作っちゃうの)ループをもらって、パッチングをある程度決めて、わたしにとって初めてのセッションがスタート。
ばねとりこさんの方を見る余裕が全くなかったことに、10 分を過ぎた辺りで気づいて。
なんだろう、モジュールたちから目と指を離せないというか、自分のことでせいいっぱいというか、そうなっちゃってる自分に気づいて、ばねとりこさんの方を見たら、ハンドサインをくれたので、音を落としていって一回目が終了。

楽しい楽しいと二人で連呼しながら、お互いのセットアップを説明し合ったりして、怒られるかもしれないからここには書かないようなこともしちゃったりして、あんまり楽しいから Elly に電話までしちゃって。
一回目で学んだことや一回目の最中に思いついたことをさっそくやってみようと、パッチングをし直して、ループをもらってさらに調整してから、二回目。
今度はばねとりこさんの方を見る余裕もできた、というか、見るようにした。
モジュールたちから目を離してもやつらは勝手に音で遊んでるって、それを聴いて感じて「それじゃあこうしたらどうなのよ」って感じでわたしと彼らが関わっていくんだって、思い出したし。

二回目が終わったところで、
「今度はこれを使ってみようと思うんですよね」
と言いながらばねとりこさんが音を聴かせてくれて。
「なぬ! だとしたら、こっちはこのモジュールで行きます。パッチングし直しますね」
とか返しながら準備をして、三回目。
手前味噌かもだけど、この時の選択は正しかったと思う。
あと、セッションの最中にとっさにパッチングを変えようとするときに、スタッカブルケーブルはすっごい便利だと気づいた。マルチプルを通す時間すらもったいないって、そんな感覚を抱くなんて夢にも思わなかった。ちょこちょこ買い足してこうっと。

三回目を終えたところで、焦らずにすむように、ちょっと早めにゴソゴソと片付けスタート。
セッションの合間合間や前後で、アメリカにいらっしゃったころのお話とか、聴いている音楽のこととか、お使いの機材やルーパーのこととか、ご自身の演奏や作曲のスタンスとか、いろんなお話を聞かせてもらえたのも、まず単純にすごく楽しいし、しかも勉強にもなった。
スタジオに向かいながら「どうなることか」と思っていたし、終わった今でも、日本語が変だけど「どうなったことか」と不安だったりするんだけど、
「楽しかったですねぇ」「楽しかったですねぇ」
「またやりましょうね」「ぜひぜひ!」
と言い合いながらスタジオをあとにできたのは、本当にうれしかった。

ちなみに、前日の夜にジャン=イヴ・ボスール『現代音楽を読み解く 88 のキーワード』(音楽之友社・2008)を「パッと開いてそのページを読もう」ってふと思いついて、開いたところが「開かれた形式 ouverte (forme)」の項目で、そこから読み進めてたら、次が「媒介変数(パラメーター) paramètre」で、その次に 「寄生音(ノイズ) parasite」が出てきて。
「これ、明日わたしがやろうとしてることじゃん!」って一人でびっくりしてた。
この手のシンクロニシティって、Elly と活動するようになってからどんどん増えてきてて、「まただ!」って二人で笑い合うんだけど、それでも毎回びっくりはするわけで。

ばねとりこさんは、ライブやスタジオで他の人とセッションもいっぱいしてるわけだけれど、自分の音を加工しよう(音に寄生しよう)とする相手(わたし)とは初めてだったそうで、面白がってくれたのがうれしかった。
音源がある程度たまったらアルバム……なんて話も出て、そうですねなんて言ってたけど、心の中ではうれしくて飛び上がってた。
なんかさっきから「うれしかった」としか言ってない気がするけど、しかたない。うれしかったんだもん。

あと、あれだ。
MacBook を持っていかなかったのも正解だった。
大げさに言えば身体性の問題だと思うけど、モジュールたちと遊んでもらう楽しさを思い出せたし、それは Ableton Live と戯れるとき(ついついこっちに偏りがち)とは全く違う楽しさだったから。

ばねとりこさん、本当にありがとうございました。
二回目、三回目、四回目もぜひやりたいです。
また企画させてください!

それにしても、これはやばいなあ。
誰かと一緒にその場で音を作るの、楽しすぎる。クセになりそう。
そこのあなた、もしよければご一緒にいかがでしょう?

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