飛べ。そして、届け。
このブログと向き合うのも昨年の 10 月以来。
11 月から社会復帰し始めたこともあって、音作りどころじゃなかったというか、まずは毎日を乗り切ることが最優先というか、Elly と相談しながら、そういう風に過ごしていて。
何か音も作らなくちゃっていう気持ちもあったけれど、具体的なアイディアにはほど遠くて、切迫感のようなものを抱えるくらいなら一度手放そうという思いもあったりして、音への情熱という点では、ぐらぐら揺れていたような半年だった。
外に出ると春を感じられるようになったくらいから、少しずつ、音を「作らなくちゃ」ではなくて「作りたい」と思うようになってきて、アイディアをそこここに書きとめたり、読書をしたり、Macbook に入れっぱなしになっていた音源を聴いてみたり、Youtube で音楽家たちのインタビューを聞いたりしていた。
それでも、Ableton Live のアイコンをクリックするまでにひどく時間がかかってしまうのはいつものことで。
ようやく昨日、重い腰を上げることができた。
素材は Elly が以前に録音してくれたもので、未使用のを使おうと決めていた。
久しぶりの Live だったし、Gumroad で買ったまま使ってない M4L デバイスもあったから、整理がてらいじって遊んでみたりしている中で、これ!という音に出会えたら、そこから次のアイディアをまた試して、足したり引いたりしていくような感じで作っていった。
本当はモジュラーシンセサイザーたちにも途中から参加してもらうつもりだったのだけれど、作っていくうちに Live に夢中になってしまって、気づいたら荒削りなものが目の前にできあがっていた。
触ったのは半年ぶりくらいだったけれど、やりたいことがひょいっとできてしまうのは Live の本当にすごいところだと、もう何回目か分からないくらい思ってるし書いてるけど、今回も驚いたり吹き出したり感動したりしながら、気づけば何時間も Live に遊んでもらっていた。
この時点では、何となく音が弱々しすぎるような気がしていたけれど、トラック別に吐き出してもらってから Studio One に入れて聴き直してみて、本当にびっくりした。
前にも何度か書いているけれど、「Studio One は音がいい」というのは何度も目にしていて。
ぼんやりと「そう言われたら確かに、うん」という程度にはこれまでも思っていたけれど、昨日ほど強烈にその差を感じたことはなかった。
解像度が格段に、というか猛烈に上がって、音の良いところも悪いところもはっきりと聞こえる。ぐわーっと立ち上がって、突きつけてくる。
弱々しすぎるという印象は完全に間違っていて、むしろ強すぎるくらいだったので、Studio One に感動しつつ、ちょっと慌てて削ったり抜いたりして。
一晩寝かせてから、仕事の行き帰りに何度も聴き直して、帰宅してから手直しするのはいつもの流れ。
もっと音を抜いてしまう方がいいと分かってはいるのだけれど、あえてそれをしなかったのは、この音が「祈り」だから。
渦巻く感情をねじ伏せて、立ち塞がる心の声に抗って、なんとしてでも愛する人に届けなければならない「祈り」だから。
きれいな言葉で祈るなんて、今のわたしにはできない。
怒りも、くやしさも、不甲斐なさも、悲しさも、やり場のない憎しみのような真っ黒な思いも、その全てを包み込んで赦してくれる愛への感謝も。
何もかもぜんぶひっくるめて、これがわたしの、7 分 12 秒の、異言の「祈り」だから。
飛べ。そして、届け。