「傲慢」。
Elly に逢いに、二泊三日で東京へ。
二人でしようと言っていたことはたくさんあったけれど、そのうちの一つに、わたしの音の制作過程を Elly に見せる、というのがあった。
わたしは以前から見せたかったし、Elly も見たいと言ってくれていたので、MacBook Air と Zoom U-44 をバックパックに詰め込んで行った。
Elly の iLoud Micro Monitor に U-44 を介して MacBook Air を繋いで。
評判通りのいい音に二人でびっくりしたりうっとりしたり。
大きなモニターに MacBook Air をミラーリングして、これまで作った音の Ableton Live や Studio One の画面を見せたり、アルバムアートや Instagram にアップする動画を作る画面を見せたりしていたのだけれど、それだけだとやっぱりつまらなくって。
素材だけ集めた Ableton Live のプロジェクトから新しい音を完成させるまでを、Elly と一緒にやることにした。
プロジェクトには Spectral Textures という Pack から、フィールドレコーディングのサンプルをいくつかピックアップして並べてあった。
この Pack だけでもまだまだ面白い音がたくさんありそう。「東ドイツにある廃墟となった園芸用品店で録音されたフィールド・レコーディング」とか素敵に決まってるし。
なので、もっともっと掘り返していきたいのだけれど、それはまたこんどやる。
並べたサンプルは長さがバラバラなので、せーの、で全部をループ再生し続けるだけでも音の重なりが繰り返されることがないから面白いのだけれど、それだとあまりにガチャガチャしすぎる感じがしていて。
「同じ音の重なりは二度と起こらない」という条件を変えずに、音をもっと抜いていくためにはどうしたらいいか。そして、Elly が気に入った音と、わたしが気に入った音を、どこにどう入れるか。
思いついたアイディアを試して、そのつど Elly にも聴いてもらいながら、制作を進めていく。
サンプルの音がとてもいいので、フィルターやエフェクトは最小限にして、左右や奥行きの配置も考えつつ、ひとまず 10 分くらいのトラックを制作。
セッションビューでシーンのフォローアクションを初めて使ってみたけれど、ライブの仕込みなんかに使うとすごく便利なんだろうなあと。また少し、Ableton Live と仲良くなれた気がする。
できあがったトラックを Studio One に移してミックス。
音の全く入ってないトラックができちゃって、あわてて Ableton Live に戻ってやり直したのは内緒。
久しぶりにやらかしたなぁ、これ。でも、おかげでまた一つ賢くなったから、いいことにする。
音をどこでどう終わらせるかに悩んだけれど、Elly に手伝ってもらって、無事完成。
マスタリングの知識が皆無なのも、Elly にバレたけど。
音が完成したところで、Elly と乾杯したりして。楽しい夜。
音ができたら、次はタイトルとアルバムアート。
Elly とは普段からいろいろなこと、タイトルのアイディアや作りたい音のテーマなんかについても話しているけれど、これまではタイトルはわたしが決めてきたし、アルバムアートもわたしが作ってきた。
せっかく二人で同じ空間で作った音だから、タイトルもアルバムアートも二人で作ることにして、話し合って笑い合いながら作った。
これから、とあるテーマでシリーズ化していくことになったりして。そういう偶然とそこからの発展がすごく面白い。分かる人にはもう分かるかもしれないのだけれど、詳しくはまだ秘密ということにさせておいてください。
Elly と一緒に音を作るのはこれが初めてだったけれど、本当に楽しかったし、楽しいだけではなくて学びもとても多い時間だった。
Elly もとても楽しんでくれていたようで、それもとてもうれしかったし。
こういう機会はこれからもたくさん作りたいなって思う。とても、とてもすばらしい経験だった。
というわけで、新作 “superbia” です。