敬虔ではないけれど。
実は、クリスチャンです、わたし。
別に「実は」っていうほどたいした話でもないと思うし、隠してるわけでもないんだけど。
休みの日はぐったりしてるから教会にも通ってないし、安直に「神」を措定して思考停止に陥ることがないように常々心がけているから、非常に不敬虔だと思うし。
ただ、「見えざる手」によるものとしか考えられないような、特に自然界の諸々の仕組みに驚くたびに、安易に無神論者を気取ることもできないな、とも思う。
時間があったので、ちょっとモジュラーシンセサイザーたちと遊んでもらっていたら、例によって夢中になってしまい、できあがった音を Ableton Live に取り込むだけ取り込んでから、慌てて仕事へ。
ついつい過激な音を聴かせてくれるモジュールばかりを選びがちだけど、今回は控えめな子たちをあえて選んで使ってみて、その堅実な仕事っぷりに感動したりしてた。
これだからモジュラーシンセサイザーは面白いし、物欲も絶えない……。
仕事から帰ってから、取り込んでおいた音を Ableton Live でいじる。
Live 12 になって、LFO の波形が増えたりパラメータの仕様が変わったりしてるのを発見。使いやすくなっていて、ありがたい。
グラグラするノイズを作りたくて、音を揺らしたりざらつかせたり、音の位置をグニャグニャに動かしてみたりしたのは、ノアの方舟が頭の片隅にあったから。
前日の夜中に Threads を流し読みしていて、こんな言葉に出会った。
“The more I get to know people, the more I realize why Noah only let animals on the boat.”
もちろんシニカルなジョークなのだけれど(ノアは自分の奥さんと、三人の息子とその奥さんたちを方舟に乗せてる(『創世記』6:18・同7:7))、なんだか妙に心に引っかかって。
40 日 40 夜の洪水に揉まれながらノアはどんな気持ちでいたんだろう、とか、「地は、神の前に堕落し、地は、暴虐で満ちていた。」(『創世記』6:11)とはまさに今のこの世界のことなんじゃないかな、とか、上述のジョークへの共感と同時に生じる居心地の悪さとか。
“The world is full of monsters with friendly faces.” という言葉を思い出したりもして。
モヤモヤしたものを頭の中に漂わせながら、モジュラーシンセサイザーで作った音や、それを Ableton Live でいじった音を Studio One に放り込んでミキシング。
原音とエフェクトをかけた音を別トラックで扱うようにしてから、音をいじるのもミキシングも、すごくやりやすくなった。一手間かける以上の価値がある。続けよう。
ミキシングを終えて何度も聴いてみたけれど、何かが足りないなあと思いながらトイレに行ったらアイディアが出てきたので、大急ぎでデスクに戻っていくつか音源をサンプリングして追加してみたら、ピースがはまったような気がした。
寝て起きて、外出がてら散歩しながら自分でも聴いて、Elly にも聴いてもらって、完成。
アルバムアートは、何に使うか決めずに作ってあったものを使うことにした。
いろんな思いを込めすぎて、わけがわからなくなったアルバムアートなので、モヤモヤした思いをそのまま込めたこの音には結果的に合うかなと。
というわけで、新作 “Noah” です。