And perhaps, even… hope.

それから、もしかしたら希望。

一つ前に作った音はモジュラーシンセサイザーたちと一緒に遊んでもらったので、次は 12 にバージョンアップした Ableton Live の変わったところをいろいろ確かめてみようと思い、立ち上げて遊んでいた。
なんとなくだけど、頭の中には「絶望」というキーワードがふわふわと漂っていて、以前に読んだ Manifeste du Mur Bruitiste の “Losing all hope is freedom.” を思い出したりもしていて。
MIDI の機能が増えたとか耳にした気がしていたので、ピアノロールで打ち込んで鳴らしながら新しい機能を試したりしていたら、これをこうしてこうやってからああやったら……とアイディアが出てきたのでそれに従って手を動かした。
3 トラックの塊が 3 つできたので、Studio One に移る。

美しかったものが儚く、しかし徹底的に壊れていく……ようにするつもりだったんだけど。
形あるものはいずれ壊れるし、希望や夢は持ち続けるよりも手放す方が楽だ。
個人的に、世の中のニュースには最低限しか触れないように心がけているけれど、ついつい Threads や Instagram などを見てしまうと、そこに蔓延する陰鬱な、あるいは陰険な感情に巻きこまれたりもする。
人は死に、ものは壊れ、希望も夢も持てない世界。
すべてを失った先に自由があるとしても……果たしてそれは、わたしたちが、わたしが望むような自由なのだろうか。

手を止めて、というよりちょっと途方に暮れたような感じで、そんなことをぼんやりと考えていたら、前にもどこかの記事に引用したこの場面を思い出した。

[バトー]なあ、海に潜るってどんな感じだ?
[素子]アンダーウォーターの教程、済んでるんじゃなかった?
[バトー]あんなプールの話を聞いてるんじゃねえよ。
[素子]恐れ、不安、孤独、闇、それから、もしかしたら希望。
[バトー]希望? 真っ暗な海の中で?
[素子]海面に浮かび上がる時、今までとは違う自分になれるんじゃないか……そんな気がする時があるの。

映画『攻殻機動隊』より

もちろん、何もせずに「今までとは違う自分になれる」と思えるほど脳天気でもないけれど、真っ暗な中から、ネガティブなことも引きずりながら、それでも浮かび上がろうとして、それでもなんとか浮かび上がれたときには、もしかしたら希望や夢を掴んだままでいられる可能性もあるんじゃないか。
そんなことを考えているうちに、音のできあがりが何となく見えてきたので、Studio One で音をさらにちょっといじって、ミキシングもして、完成させた。
Studio One も細かいところまで進化していて、より使いやすくなっている気がする。ありがたいありがたい。
Elly に聴いてもらったら、何度も「穏やかな音だ」と言ってくれたのがうれしかった。

というわけで、新作 “And perhaps, even… hope.” です。
最近にしては珍しく、20 分弱の、長めの音源です。

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