※アイキャッチ画像は本家から拝借しています。
前回の Dialectic Ping Pong に続いて、今回は Viznutcracker, sweet! の解読と勉強。図は本家から拝借しています。
Viznutcracker, sweet!
Viznutcracker, sweet! は、いくつかの “bytebeats” シグナル・ジェネレーターの実験的実装である。
“bytebeats” とは方程式(実際には再帰関数)のことで、たいていの場合は 1 行のプログラムコードとして表現され、通常は様々なビットレベルの演算子を含み、増分する位相値で評価 (evaluate) されると、オーディオレートでは、あらゆる種類のハーシュデジタルノイズが発生する。そのうちのいくつかは音楽的に、あるいは少なくとも面白く聞こえる。
“bytebeats” は、2011年に viznut (Ville-Matias Heikkilä) によって初めて世に示された。
出力は、オーディオ信号として使用される場合、bytebeats の特徴である高周波のエイリアシングやその他の効果による不快なデジタルの「金切り声 (screech)」の少なくとも一部を除去するために、通常、ローパスフィルタでかなり大きくフィルタリングする必要がある。このデジタル・エイリアシングは、bytebeats の動作の基本特性であり、o_C モジュールのハードウェア的な制限によるものではない。
現在の Viznutcracker, sweet! アプリでは、16 種類のバイトビート方程式にアクセスできる。このアプリは、チャンネル A〜D までの 4 つの独立したバイトビート・ジェネレーターを提供する。各ジェネレーターの方程式、スピード/周波数、3 つの方程式パラメータ値(p0、p1、p2)は、メニューから設定したり、マッピング可能な CV 入力で電圧制御することが可能。
バイトビート・ジェネレーター・モジュールの中ではおそらく唯一、Viznutcracker, sweet! アプリはジェネレーターを非常に遅いレートで動作させることができ、o_C モジュールの出力は DC カップルドであるため、ジェネレーターの出力をステップ CV のソースとして使用することができる。例えば、出力をクオンタイザー(別の o_C モジュールなど)に入力すると、もしかしたら興味深いピッチシーケンス(場合によってはメロディーも…)を作成することができるかもしれない。さらに、このアプリでは、それぞれのバイトビート方程式を外部クロック/トリガー入力でインクリメント*1できるため、ステップ CV を他の外部プロセスと同期して生成できる。
制御機能
コントロール | 機能 |
---|---|
左エンコーダー(回す) | 編集するチャンネルA〜Dを選択(全チャンネルは常にアクティブ) |
左エンコーダー(押す) | (何も起こらない) |
右エンコーダー(回す) | ナビゲーションモード:メニュー項目を上下に移動する 値編集モード:編集中の値を増減する |
右エンコーダー(押す) | ナビゲーションモードと値編集モードの切り替え |
右エンコーダー(長押し) | アプリ選択メニュー |
「▲」ボタン(長押し) | スクリーンセーバーの起動 |
「▲」ボタン(押す) | 一つ次のバイトビート方程式を選択する |
「▼」ボタン(押す) | 一つ前のバイトビート方程式を選択する |
設定
設定 | 意味 |
---|---|
Equation | バイトビート方程式を選択する(別表参照)。 |
Speed | 範囲は 0〜255。255 は 16.7kHz のサンプル・レートに相当する(つまり、位相累算器は 1 秒間に 16,666 回進む)。レートが低いほど、おおよそ 2 次関数的にスケーリングされる。つまり、0 は極めて遅い。 |
Pitch | 範囲は 1〜255。これは非常に大まかなピッチ設定であり、各方程式によって動作が異なる。Pitch の値を上げると、方程式の出力のいくつかの要素のピッチ(周波数)が上がるが、必ずしもすべての要素が上がるわけではないので、通常のピッチの増減のようには聞こえないかもしれない。しかし、その効果は Speed パラメータとは異なって聞こえる。 |
Parameter 0 | 選択した方程式の 1 つ目の調整可能パラメータ。範囲は 0~255 だが、いくつかの方程式のパラメータ設定によっては何も出力が得られなかったり、位相累算器のすべての値に対して出力が得られなかったりする(我慢のしどころ)。 |
Parameter 1 | 選択した方程式の 2 つ目の調整可能なパラメータ。Parameter 0 と同様。 |
Parameter 2 | 選択した方程式の 3 つ目の調整可能なパラメータ。Parameter 0 と同様。 |
Loop mode | ループモードを有効にする。このモードでは、位相累算器は 0~4,294,967,296 の間ではなく、特定の開始値と終了値の間でループするように制約される。 |
Loop begin ++ | ループ開始点を設定する。設定の幅は大 (coarse)。範囲は 0〜255。 |
Loop begin + | ループ開始点を設定する。設定の幅は中 (medium)。範囲は 0〜255。 |
Loop begin | ループ開始点を設定する。設定の幅は小 (fine)。範囲は 0〜255。 |
Loop end ++ | ループ終了点を設定する。設定の幅は大 (coarse)。範囲は 0〜255。 |
Loop end + | ループ終了点を設定する。設定の幅は中 (medium)。範囲は 0〜255。 |
Loop end | ループ終了点を設定する。設定の幅は小 (fine)。範囲は 0〜255。 |
Trigger input | 4 つのトリガー入力(TR1~TR4)のうち、どのトリガー入力をStep mode のトリガー入力に使用するかを設定する。Step mode がオフのときは、どのトリガー入力をそのチャンネルの位相累算器のリセットに使用するかを指定する。 |
Step mode | オンに設定すると、Trigger input 設定で指定されたデジタル(トリガー)入力でトリガーまたはクロックパルスを受信したときに、位相累算器がインクリメント*1される。オフに設定すると、Trigger input 設定で指定されたトリガー入力でトリガー(またはパルス/クロックの立ち上がり (rise) エッジ)を受信すると、位相累算器(バイトビート方程式の $t$ 変数)がリセットされ、バイトビートの “tune” または “melody” がリセットされて先頭に戻る効果、または Loop mode が有効な場合はループ開始点に戻る効果がある。 |
CV1 -> | このチャンネルで CV1 をどのパラメータにマッピングするかを指定する。選択肢は off、eqn、spd、p0、p1、p2、beg++、beg、end++、end、pitch。 |
CV2 -> | CV2 入力からのマッピング(CV1 と同様) |
CV3 -> | CV3 入力からのマッピング(CV1 と同様) |
CV4 -> | CV4 入力からのマッピング(CV1 と同様) |
方程式の名前 | 方程式のソース |
---|---|
hope | “atmospheric, hopeful” via royal paw |
love | the equation by stephth via here at 3:38 |
life | the second equation listed here |
age | “Arp rotator” via Microbe Modular Equation Composer Ptah bank |
clysm | “BitWiz Transplant” via Microbe Modular Equation Composer Ptah bank |
monk | “Vocaliser” via Microbe Modular Equation Composer Khepri bank |
NERV | “Chewie” via Microbe Modular Equation Composer Khepri bank |
Trurl | “Tinbot” via Microbe Modular Equation Composer Sobek bank |
Pirx | “My Loud Friend” via Microbe Modular Equation Composer Ptah bank |
Snaut | “”A bit high-frequency, but keeper anyhow” via Microbe Modular Equation Composer Khepri bank |
Hari | “The Signs” via Microbe Modular Equation Composer Ptah bank |
Kris | “Light Reactor” via Microbe Modular Equation Composer Ptah bank |
Tichy | “Alpha” via Microbe Modular Equation Composer Khepri bank |
Bregg | “Hooks” via Microbe Modular Equation Composer Khepri bank |
Avon | “Widerange” via Microbe Modular Equation Composer Khepri bank |
Orac | “Abducted” via Microbe Modular Equation Composer Ptah bank |
入出力
TR1〜TR4 と CV1〜CV4 は、上記のようにメニューからチャンネルごとにマッピング可能。チャンネル A~D の出力はそれぞれ出力 A~D に割り当てられる。
スクリーンセーバー
My God, it’s full of stars!
(非常にノイジーな画面。方程式を変えると、横に四分割された画面も変わるように見えるが、わたしの気のせいかもしれない)
Tips
・上記のように、バイトビートジェネレーターを非常に遅いレートで使用して、CV を生成することができる。これをクオンタイザーに入力してピッチ・シーケンスを生成したり、ポルタメントやスルーリミッターを通して面白い滑らかなモジュレーション信号を生成したり、そのままフィルターなどのモジュレーションに使用したりできる。
・オーディオレートで動作するバイトビートの出力から、高音の「金切り声」を除去するために、ローパスまたはシェルフフィルターを通して処理する。
・モジュレーションをゆるやかにするために、バンドパスフィルター(Mutable Instruments Shelves など)、または他の複雑なフィルターの組み合わせを通して、出力を処理する。
・パーカッシブなエンベロープとともに出力を VCA やフィルターに通すと、面白いパーカッシブなサウンドが得られる。エンベロープを開始させるのと同じトリガーやゲート信号を使って、バイト・ビート・ジェネレーターの位相をリセットする。ゆるやかなモジュレーションを使って周波数やレートをゆっくり変化させたり、ループの開始点と終了点を 「スクラブ 」して、パーカッシブな音の性質を変化させる。
PNW のマニュアルの解読に進みたかったので、その前にここまでは、と思って、これもやっつけた。
というか、こんな面白い機能だと思ってなかったから、解読しながらワクワクしっぱなしで。
ボケーッとしてる暇なんかないなあと思いながら、体力がついてこなくてボケーッとしてしまうんだけれども。
やっぱり 1 台じゃ足りないんじゃないの、o_C ……。
次は ALM Busy Circuits Pamela’s New Workout のマニュアルを読む!
パラパラめくってみたら、こんなこともできるの?みたいなことが書いてあって、無知蒙昧をひたすら反省している最近のわたし。
いちおう、わたしの無駄口を省いたバージョンを PDF にして置いておきます。
コピペして、体裁をちょっといじっただけなので、味も素っ気もないですけど。
こんなのでよければ、一部なり全部なり、ご自由にお使いください。